ワインは寝かせれば寝かせるほど美味しくなる、というフレーズをあちらこちらで聞きます。
本当に美味しくなるのか、はたまた違うのか、それはどうしてなのか?
家でワインを飲む方は必見です。
1:寝かせれば美味しくなるという説は本当か?
「寝かせる」という行為は一般的には数年セラーもしくはそれに近い状況下で静置させることをいいますが、
「ワインは寝かせると美味しくなる」という説はそもそも
”ワインは熟成させて造るもの””ヴィンテージワインは高い=美味しい”という
考えから生まれた完全な誤認です。
この考えが正しいのなら古ければ古いほど美味しいということになります。
そもそもヴィンテージワイン(30年~40年前のもの)の味わいが一番好きだという方は
そこまで多くないと個人的に思います。
2:寝かせることで発生するリスクとコスト
ワインを寝かせることは美味しくならないばかりか、逆に美味しくなくなるリスクがあります。
それぞれのワインにはピークがあり、すぐ飲めば美味しかったものが
寝かせすぎて味が痩せてしまう(酸味や渋みが突出し果実味がスカスカになる)恐れがあります。
また、セラー内に置くことで、在庫をかかえることになるのでそれ用の場所と手間などのコストがかかります。
3:高いワインは超熟、それ以外はすぐ飲む
全てのワインを寝かせないほうが良いかといえば、実はそうではなく、
銘醸ワイン、いわゆるボルドーやブルゴーニュなどの特級ワインやイタリアのバローロなど
高級ワインとされているものはそもそも寝かせるように造られているので
開けてすぐよりは少し時間をおいて飲むのが得策ですが、
それ以外のワイン、個人的には5000円以下のワインなどは
寝かせる意味はほとんどないと思います。
4:落ち着かせることの重要性
「寝かせる」ことがほとんどのワインに有効ではないと言ってきましたが、
「落ち着かせる」ことは全てのワインに重要です。
ここで「落ち着かせる」とは2日~数か月静置させることですが
輸送中に揺れ動いたワインは微生物学的に安定しておらず、
本来の味わいよりも散らばっている(酸が多かったり味にまとまりがない)のです。
そこで、ワインを「落ち着かせる」という事が必要になり、
どのくらい必要かはワインが揺れ動いた時間に比例します。
配達で送られてきたワインなら数日、海外から買ってきたものなら一週間~10日、
優良なワイン輸入業者は船便で届いたワインを数か月置いてから出荷します。
以上、結論としましては長期熟成用に作られたワインなら寝かせるのはOK、
それ以外のワインは少し落ち着かせてから抜栓すれば良いという事です。
正しい知識で美味しいワインを飲みましょう!